集会案内

【日曜日】
日曜日の礼拝 毎週 午前10時20分~11時30分
子どもの教会  毎週 午前10時20分~11時30分

● 同時刻に子どもの教会があります。
● 小さなお子様をお連れの方も、お気軽にご参加ください。
● 礼拝後お茶の会があります。お時間のある方はどうぞ。

【水曜日】
聖書と祈りの会 毎週 午前10時~11時30分
晩の祈りの会  第1 午後 7時30分~9時

【金曜日】牧師面談日 毎週金曜日 午後(希望時間を事前にご連絡ください)

2022年12月18日日曜日

12/18礼拝メッセージ「失敗を許さない君へ」

※12/18の礼拝説教の短縮版です。



イエス様を身ごもったマリアはこんな言葉で祈ります。

「神様は、思いあがるものを打ち散らす」(ルカ1:51)

「神様は、権力あるものをその座から引きずり下ろす」

「神様は、身分の低いものを高く上げる」(ルカ1:52)

イエス様の活動の道を備えた洗礼者ヨハネ誕生記事には

エリサベトの祈りがあります(ルカ1:25)。

「人々から恥とされてきたこの状況に終止符が打たれる」

マリアの祈りのベースには、ハンナの祈りがあります。

「勇士の弓は折られるが、よろめくものは力を帯びる」

(サムエル記上2:4)

どの祈りにも、社会の中での生きづらさや個人の嘆きが

背景にあります。神様は社会の中で小さな存在のように

扱われている者の祈りを受け止めてくださるという喜び

があります。小さな存在のように扱われている者たちを

生きづらくさせる価値観、社会にまかり通っている考え

を引きずりおろす、これがクリスマスのメッセージです


わたしには、引きずりおろしたい価値観があります。

それは「失敗を許さない」という考え方です。一回でも

間違えたり失敗した人は攻撃していいんだという考え方

がひろがっています。最近ではサッカーワールドカップ

の日本代表がコスタリカに敗れた時、手のひらを返した

ように選手たちを攻撃する、責任を追及する誹謗中傷が

ありました。とっても生きにくい社会です。


マタイによる福音書1章にも失敗を許さない共同体の

生きづらさが見えます。ヨセフは婚約マリアが想定外

の妊娠をしたと知らされます。自分の子ではありません。

婚約者以外の人との間に子どもができた場合、妊婦を

石で打ち殺すのがルールでした(申命記22:23~24)。

現在の芸能人の不倫について執拗に個人攻撃するニュース

を見ると、この聖句を思い出します。失敗は許されない。

もっとも傷ついたのは顔の見えない不特定多数の人間では

なく愛する人を信頼できなくなった婚約者ヨセフです。

マリアは男性に暴力を受けたわけではないと言います。

もし、助けを求めたのに男性に暴力を受け婚約者以外

の人の子を身ごもった場合は事件ですから女性に罪は

ありません(申命記22:25~27)。

マリアは「聖霊によって身ごもった」と主張するので、

ヨセフは一人で悩みます。失敗を許さない共同体の基準

ではマリアは死刑。愛情があるのでそんなこと嫌だ。

でも、自分の子どもではない赤ちゃんを受け入れる決意

もない。

あれはヨセフの子じゃない。父親不明の、マリアの子」

と小さな村の共同体の中で陰口を言われ生活していくこと

になるからです(マルコ6:3)。

行きついた結論は「ひそかに縁を切る」(マタイ1:19)。

ひそかに縁を切れば、マリアが殺されることはない。

マリアが村を出て別の場所でひそかに出産すればヨセフも

噂されることがないからです。

もちろん、母親と幼い子だけで生きていくことが過酷だと

想像できたはずですから苦しい選択です。聖書を読むと

ヨセフは言葉を発していません。

しかし「こうするしかない、仕方がないんだ」と自分を

納得させながら眠りにつく姿を想像することができます。


思い描いていた未来が打ち砕かれたヨセフの夢に、天使が

現れました。

天使はヨセフに「恐れるな」と声をかけました。

律法を優先してマリアを訴えるか、

マリアと縁を切り無かったことにするか、

その選択で揺れていたヨセフに新しい道を示します。

「恐れず、妻マリアを迎え入れなさい」。


「あのマリアは人生を失敗した」

「聖霊によって身ごもったなんて嘘、彼女信じるの?」

という声に抗い、「マリアは聖霊によって身ごもった」

という天使の声をヨセフは信じました。

正しいと思える自分の考え方で解決の道を探ろうとする

ヨセフに、神様は新しい視点を与えられました。


・・・

失敗を許さない、という考え方が引きずりおろされたら

良いのにと願っています。失敗を許さない人たち怖い、

その人の人生が再起不能になるまで攻撃していて怖い

と思っていました。しかし、「人に迷惑をかけるな」、

「役立つ人間を目指せ(=役に立たない人間はダメ)」

という思いに支配されている人たちが失敗を許さない

という社会を生み出しているのなら、彼らに恐怖を抱く

のではなく、失敗を許さない人たちが抱える痛みを見る

べきかもしれないと思いなおしました。

人を傷つけないように迷惑をかけないようにしている人。

迷惑と思われるのを恐れ、苦しい時に苦しいと言えない。

困っていると言えない、弱い部分を知り合い見せられない

この思いに、クリスマスのあたたかいメッセージが届く事

を望みます。


ヨセフと天使の記事。見方を変えれば、天使がヨセフに

「マリアを受け入れてほしい。マリアを助けてください」

と頼った、と読むこともできるのではないでしょうか。

一人で何とかしようと思わなくていい、嘘をつき自分を

追い込まなくていい。あなたの悩み、神様はご存じです。

神様が支えてくれるから、大丈夫だからマリアを助けて。


誰かに頼られると喜びがあります。「マリアは婚約中に

妊娠したことが明らかになった。周囲から人生失敗したと

思われている。そんなことはないのに。マリアには聖霊が

働いている、マリアはいのちをはぐくもうとしている。

ヨセフ、怖がらずにマリアを受け入れてください。マリア

に自分を責めないでと語ってあげてください。マリアにも

失敗を許さない人たちのところにも、神様が共にいること

を伝えてほしい」

天使がヨセフに語った言葉を、わたしたちも受け止めて

行きたいと願っています。

「どうせ何も変わらない」ではなく「神様が共にいて

くださるから、何かできるはず」にわたしたちの世界が

変わっていくよう祈り求めていきましょう。


・・・

お祈り

「どうせ何も変わらない」と冷ややかな態度をとり、

自分を守ろうとしている人たちがいます。

弱さを見せられる助け手を与えてください。


「どうせ何も変わらない」と孤独を感じている人、

ヨセフのように、一人で解決できないほどの悩みを

抱えている人のために祈ります。


「道を踏み外してしまった、失敗してしまった」

と感じている人たちのために祈ります。

神様は、わたしたちが視点を変えて神様の方向をみて

歩むこと、わたしたちが与えられたいのちと心を動かし

歩むように、忍耐をもって待っていてくださる方です。

何度も失敗し、神様から離れ、自分の心地よさを優先

しても、神様は何度でもわたしたちを受け入れ居場所

を用意してくださることを信じます。

誰にも理解されないと感じていても、それぞれの人に

やり直す機会、居場所、人を大切に思い助け合う経験

をあたえてください。


クリスマスの喜びを、多くの人と分かち合うことが

できますように。


・・・

この本を参考にしました。

雨宮処凛『生きのびるための「失敗」入門』(Amazon)


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日本キリスト教団はりま平安教会
牧師 松本あずさ

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